文技術から学ぶ、作業指示書の書き方

2021.09.07


文技術から学ぶ、作業指示書の書き方

今回は、1981年に書かれた名書、『理科系の作文技術』から学ぶ作業指示書や報告書の書き方となります。
タイトルが理科系と書かれているだけに、「私、文系だから・・・」と敬遠される方もいるのですが、実際に読んでみると、文系であっても学ぶべき点が多く、ポイントを抑えるだけで、スッキリとした文書が書きやすくなるといった事ができるようになります。

■結論

・読者に必要な事実と意見だけを入れて、心情的な言葉を入れない。
・情報は、情報。意見は意見で別ける。

この結論を先に書くのが、理科系ならではの特徴ですが、先に結論を伝えておく事で、不足分はなぜ?なになのかを補足するのが意見部分となってきます。

具体的な内容で学んでいきましょう。

例題:キリンを冷蔵庫に入れてください。

考えた結果はでましたか?
回答例としては、このような例でしょうか?

回答①:
『とっても可愛いキリンが安心しているのを見計らって、キリンのサイズを測って、冷蔵庫に入るかどうか確認してみてください。多分入るサイズだと思います。冷蔵庫が壊れていないと思うので、普通に使えるはずです。冷蔵庫にキリンを押していれてみてください。お願いします。』

回答②:
『冷蔵庫開ける、キリンを入れる、冷蔵庫を閉める』


この問題自体は、とても有名な問題で、様々な入社試験でも使われるケースが多く、かのMicrosoftやGoogle社の入社試験にも使われたとの話もあるくらい有名な問題です。

問題の回答内容で、あなたがどれだけロジカルシンキング(論理的思考)ができるかどうかが問われています。

今回の問題の答えは、

回答②:『冷蔵庫開ける、キリンを入れる、冷蔵庫を閉める』

この回答になります。

少なくとも人に指示を出す次点で、冷蔵庫にキリンが入らない指示を出している事がおかしい内容になります。

ただ、実際の作業指示となると、不確定要素や未確定の部分がある場合がありますので、これは補足事項として別枠を作っていきます。

作業指示書
結論:キリンを冷蔵庫に入れてください。
方法:冷蔵庫開ける、キリンを入れる、冷蔵庫を閉める
補足事項:キリンが入らないサイズ/冷蔵庫が壊れていた場合は、連絡ください。

作業指示書を受け取る人の読解力にもよりますが、余計な情報が無いので、わかりやすい文章となります。

更に深堀りをして、どのように書けば伝わるかを解説していきます。

■ポイント1:必要な事だけかいて、必要ないことは一つも書かない

何が必要で何が必要では無いのかは、読み手の持っている情報量次第でもあり、書く人の技量が必要になる箇所でもあります。

会社内であれば、誰が誰に指示を出すのかといった事に影響されていきます。

または、指示内容を読んで誰もが同じ結果が出るような文章の伝え方をしていきます。

先程の回答②の場合
-1:冷蔵庫開ける
-2:キリンを入れる
-3:冷蔵庫を閉める
となるので、基本的に誰でも同じ結果が得られます。

さきほどの回答例①のケースで添削をしてみます。

『とっても可愛いキリンが安心しているのを見計らって、-1
キリンのサイズを測って、冷蔵庫に入るかどうか確認してみてください。-2
多分はいるサイズだと思います。-3
冷蔵庫が壊れていないと思うので、-4
普通に使えるはずです。-5
冷蔵庫にキリンを押していれてみてください。-6
お願いします。-7』

-1:「とっても」「可愛い」は、言葉を装飾するための言葉なので、必要無。

-2:キリンのサイズを測る次点で、なんで指示を出しているのか不明です。

-3:多分を活かすための部分なので、必要無。

-4:冷蔵庫が壊れていないと思うは、仮定の話なので、必要な場合は、補足を入れる

-5:普通に使えるは、[-4]と情報が被っています。

-6:いれてみてください。とありますが、今回の指示内容はキリンを入れるだけなので、みてくださいといった表現は必要有りません。入れ方に指定があったのでしょうか。となります。

-7:お願いします。その前にこの文章は作業指示書ですよね?作業指示と作業依頼では別な物となります。指示は、命令形。依頼はお願いです。お願いだから実行しなくても良いとも捉えかねません。

必要な事だけ書くと、恐ろしく単語のみの構成となっていきますが、作業指示書の場合、読み手に感動を呼び起こす必要は無いので、単語のみでも問題はありません。

余談ですが、旅客機などの航空無線を聞いてみると、雑談と報告がはっきり別れており、報告は事実のみを伝えています。

ここに感想や不必要な内容は無く、一度聞いてみると面白いかもしれません。

■ポイント2:事実と意見を区別する

『今回、キリンを冷蔵庫に入れて欲しいのです。キリンのサイズは、1mと小型のタイプなので、今回手配した冷蔵庫でも充分に格納する事ができます。もしかしたら、先に餌をあげて落ち着かせて対応したほうがいいかもしれません。』

この内容を読んだ時に、ただ、冷蔵庫にキリンを入れるだけなのに、読み手は、

・先に、餌をあげて落ち着かせたほうがいいんじゃないか?
・1mもあるので、私の体格でも大丈夫だろうか?

とも考えてしまいます。

なら先に、キリンにあげる餌を用意しなければならないのか?キリンの餌はどこにあるのか?キリンを落ち着かせるにはどのような方法を取ればいいのか?などの想像力が働いてしまい、結局何をするのかが不透明になってしまいます。

■ポイント3:記述の順番

日本の学校教育では人のココロを打つ文章を書くように指導、教育をされてきますが、ビジネスの場面で必要なのは、正確な情報を伝える事となります。

文章の組み立て方として、最初に結論を持ってくる方法と、最後に結論を持ってくる方法の2つがありますが、ビジネスに置いては前者『最初に結論を持ってくる』ほうが伝わりやすく、結論を読んだ後に、意見や補足がくるため、読み手は、主題を掴んだまま、補足を読みやすくなります。

また、結論の後に複数の行動が必要な場合は、指示内容をツリー構造にするのも有効な方法です。

メールなどでログを残しながら進捗確認をする際、目標が明確化するので、わかりやすい場合があります。
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メール例:

【メールタイトル】
新規キリンと冷蔵庫導入決定

【メール本文】
各位

お疲れ様です。
吉田です。表題の件、対応依頼となります。

結論:今回、新しく冷蔵庫とキリンの導入が決定しました。
各自以下のアクションをお願い致します。

アクション内容:
→A:キリンの仕入れ
某ぬいるぐみ社より、在庫有。佐藤さん発注対応。要納期確認。
→B:冷蔵庫の仕入れ
某家電量販店にて、在庫有り。鈴木さん発注対応。要納期確認。
→C:設置作業
『A』『B』確定次第、高橋さん設置対応。
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このように記述して各担当にメールをすると、各担当が何をすべきかはっきりし、かつメールの返信をする時に返信がしやすくなります。

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返信例①

お疲れ様です。佐藤です。

『A:キリンの仕入れ』ですが、発注済です。
本社倉庫にx/x到着予定です。
よろしくお願いします。
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返信例②

お疲れ様です。鈴木です。
『B:冷蔵庫の仕入れ』の件、発注が終わりました。
本社倉庫へ、x/x納品予定です。
よろしくお願い致します。
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といったやり取りが出てくると、どこで何が進行しているのかが明確化しやすくなります。

このメールの作業を行う際に、トラブルの発生する場合がありますが、アクションを明確化しておくことで、どこで何のトラブルが起こっているのが明確化できます。


このような内容が、更に詳しく書いてあるのが、理科系の作文技術の本です。

文章の説明を文章で読むのも不思議な感覚がありますが、漫画版は図を用いた解説が多く、ストーリー仕立てなので、読みやすいといった特徴があります。

この機会に、一つ読書されてみるのはいかがでしょうか?

「理科系の作文技術」 木下是雄 著